舌癌 stage4 体験記

ある日突然舌癌を宣告された夫と、夫をとりまく愉快な仲間達のブログです。

2019/7/29 亜全摘出、再建、リンパ郭清手術

手術開始予定時刻は8:30。



それに間に合うように8:00までには来院してください。


という事でしたが、


朝の渋滞を見越して30分早めに家を出ました。




病室に着くと、


夫は、落ち着かない様子でベッドに座り


イヤホンを突き刺した、音の出ないテレビをぼんやり眺めている。





術後は病室が変わるため、


持ち物をバッグにまとめ、


ICUに持っていくものを準備し、


前日渡されていた、手術用の服に着替える。



朝の仕事はこれだけ。




服を着替え、迎えに来てくれる看護師さんを待つ。。。



その時間の長いこと。




日常と切り離された


何ともいえない空白の時間。



あれほどいつも騒がしくお喋りを続ける思考も


このときばかりは、黙っています。




8:20


看護師さんが来ました。


薄い緑色の手術用の服を来た夫が


看護師さんの少し後ろを歩く。



その少し後ろをお義母さんと並んで歩く私。



入院棟と別棟にある手術室につくと、




夫は、後ろを振り向き





「行ってくるわ。」





手術室の自動ドアの向こうに消えていきました。






ここまで来たら、信じて任せるしかありません。



耳鼻科の先生による亜全摘出とリンパ郭清手術は


3~4時間の予定。



「お昼過ぎくらいに終わると思いますので、


それまで院内で待ってください。」




いったい何人くらいの人が同じような手術をしたのでしょう・・・



至って普通に、事務的にことは進んでいきます。





それから病院の最上階にあるラウンジという名の待合室で


ひたすら待機です。



13:30


看護師さんからの電話。


「今、耳鼻科の手術が終わりました。


経過を説明しますので、手術室の前まで来てください。」




あーー、


無事に終わった。



良かった。。。




義母と一緒に、胸を撫で下ろし


手術室へ。






ブルーの術衣を着た担当の先生が


銀色の楕円形の入れ物を持って現れました。



血のついたビニール手袋をはめています。




「見ても大丈夫ですか?見ますか?」



銀色の入れ物の中には、


切り取られた、


今朝まで夫の口の中で生きていた舌の半分が


入っていました。




「ここ、この部分が癌で、こう(切った部分を指差し)


大きめに切っています。」




尋常ではない状況では


思考も尋常ではなくなるようで



淡々と・・・



舌が



作り物の



物体のように見えました。







ひと段落・・・



順調に手術が進んでよかった。


午後からは、形成外科の先生による再建手術です。



こちらも4時間ほどかかるとのことで、


改めてラウンジで待機しました。




次に連絡があったのは17:30


再建手術も無事成功。



説明を受け、


麻酔で眠っている夫に面会に行きました。




フランケンのように包帯でぐるぐる巻きになっているのかと


想像していましたが、


切開したところは、ホッチキスで止められたまま剥き出しで、


予想よりも生々しい。



切断された残りの舌は腫れて、


口から1cmほど外に覗き上下の前歯に挟まれています。



気道確保するために、切開された喉には呼吸器が


両手には点滴、血圧測定器、


指先には血中酸素測定器


胸には心電図のパット


両足は血栓防止の圧をおくる器具


ベッドの下には、尿袋


首と足からはドレーン。。。



記憶にあるだけでも、このくらいのいろんなモノが体中についていました。




顔の下半分は、オタフク風邪にかかったように腫れていましたが、


想像よりはましで、


眠っている顔も、穏やかで



スースーと音を立てる呼吸器や、


カラフルに光るモニターを見て、





生きているんだなーーー。良かったなーーー。






長い一日が終わりました。。。







■編集後記■



半世紀も生きていると


いろんな事が起きるものですね。




人はみんな同じゴールに向かって生きていますが


その道中はそれぞれ違っていて



それぞれに自分が選択したモノだと思います。



いろんな事が起きても


それは乗り越えられるコト。




そう思います。





大好きな音楽。


ピアノ曲を作ってみました。




shanbara stream ~birth~ / 作曲&演奏 まさみn